2023年3月末に、JR留萌本線「石狩沼田-留萌」間は廃止された。2026年3月には残る「深川-石狩沼田」も廃止される予定という。「留萌本線」の項でも見た通り、冬の雪害による欠便の多さは利用者が哀れに感じるほどで、JRとしても今まで維持してきたのは大した努力だったと思う。
さて、ここにもうひとつの「留萌線」がある。沿岸バスが運行する「留萌旭川線」である。その項にも書いたように、中央バスの他路線を歩いているときに出会い、ついでにバス停の写真を撮っているうちに旭川-深川間はおおむね訪れることができた(ただし残っている区間があり、ちょっと難渋している)。深川からの「沼田線」では「秩父別2条3丁目」までが「留萌旭川線」との共通経路であり、ここから「沼田線」は「留萌旭川線」から離れて沼田町中心部へ向かう。すなわち「留萌旭川線」は石狩沼田駅を含む沼田町中心部を経由しない。
この先留萌まで歩いてみたいとは思っていた。そこへJR留萌本線廃止ということになった。予定された代替交通はオンデマンドのみ、さらに2022年のうちに「留萌旭川線」自体が1日8便から5便に減便されていた。札幌からの「高速るもい号」などはあるものの、今後不便さは増す一方だろう。
第1日
2023年1月16日、JR留萌本線。車内は混雑。降りる予定の「峠下」駅への路線があまりにも山道すぎてビビる。予定は中止しようかなとも思う。
一瞬の逡巡の後、降りた。もちろん他に降りる人はいない。この人たちの目的は、あくまで深川-留萌を乗り通すことだからだ。他方、こちらの目的は「峠下分岐点」停留所から「秩父別2条5丁目」停留所までの16kmを歩くことである。その上で、しかるべきタイミングで沿岸バスの深川方面行にピックアップしてもらう計画である。
「峠下分岐点」から次の「奥美葉牛」まで3.7km。美馬牛峠を越える。
たまたま暖かい日だった。人家のない山道を下り、奥美葉牛に入る。
美葉牛から碧水へ向かう途中に岩村地区の記念碑を見かけるが、雪深いため近づくのは断念する。
碧水では中央バス・滝川北竜線の廃止後の「その後の碧水市街」にも立ち寄りながら、予定通り「秩父別2条5丁目」にて沿岸バスに載せてもらい、無事深川に到着した。
第2日
今日の目的は、峠下駅から藤山駅まで歩くことである。天気は雪。峠下駅で雪の中に降り立ったのは、やはり自分一人だった。
上り列車が走っているが、必死の様子がうかがえる。
鉄橋にも雪が積もっている。
「東幌糠駅跡」という場所にも行ってみたが、積雪のためかよくわからなかった。そのまま歩き続けて幌糠集落に入る。
幌糠駅にも立ち寄ってみた。
雪のため閉鎖されている踏切もいくつかある。
そして藤山駅に到着。
駅前には開拓記念碑があったが、積雪のため全文は読めなかった。今思えば、雪を取り払って見ておくべきだったかもしれない。
駅付近で少し待った後、沿岸バスにピックアップしてもらって深川に戻った。そう、この旅は、「JR留萌本線」と沿岸バス「留萌旭川線」の双方を利用することで、やっと成り立っているのである。
第3日
今日は藤山駅から留萌駅まで歩くつもりである。例によって、混雑した留萌本線に乗車。
ただ一人、藤山駅で下車。ここまではいつも通りである。幸いにも好天で、「十五線川」を渡る。
積雪のため閉鎖されている道路をいくつか見かける。
一方、1-2軒でも家があれば、踏切は維持されている。ちなみにこの先は行き止まりである。
この先は、かつて「大和田炭鉱」を有することで知られた大和田集落である。
大和田炭鉱の消長に関しては「新留萌市史」(p566-p590)に詳しいが、1899年に採掘が開始され、1905年より大和田荘七が経営していた。1912年には駅、郵便局、警察派出所、診療所発電所、旅館2軒、商店30軒を有していたという。その後事故により1918年に閉山、北海炭業が鉱区を買収するがやはり事故のため1931年以降は採炭が中止されていた。しかし戦時体制下になり、1938年、寿炭鉱株式会社により採掘を再開。苦難の連続ではあったが1940年には炭鉱が復活した。終戦後は経営難、相次ぐ事故などにより、1959年には歴史に幕を閉じるに至った。
大和田を過ぎると、あとは留萌市街に入っていくのだが、せっかくここまで来たのだから留萌市内のバス路線も見てみたいと思うわけである。そこで、沿岸バス・留萌市内近郊線の停留所にも回ってみることにする。
今日は留萌までたどり着いたので汽車で帰ることにする。留萌駅にはたくさん人がいた。
第4日
留萌駅には達した。しかし、「留萌旭川線」の終点は、駅よりさらに進んだ「本町十字街」である。それに「留萌市内近郊線」「日東団地線」も歩いておきたい。ということで、今日は最初から留萌駅を目指すことにする。
留萌線は相変わらずの混雑。
この日は市内を歩き回り、両路線の停留所も訪れることができた。印象に残る場所も多々あったが、ここでは駅付近の写真のみを掲載する。
最後に、2018年8月に来た時の様子を掲載してこの項を終えることにする。
留萌線の乗車映像。